平成28年度 林野庁補助事業 木を活かす学生課題コンペティション入選作品一覧

平成28年度の木を活かす学生コンペティションは、木造建築物・工作物部門8点、ものづくり部門7点、木質空間部門3点、木を活かす活動部門5点の合計23点の応募がありました。

 応募
部門
 受付
番号
作品名   応募代表者  人数  学校名 専攻学科名 

木造建築物・工作物部門

1009

コの重

葛西 瑞季

6

昭和女子大学

環境デザイン学科

1012

創造と瞑想の合掌

堀次 宏暢

1

福井大学

工学部建築建設工学科

1017

木造のゴシック建築

磯上 奈穂美

1

武庫川女子大学大学院

建築学専攻

1018

未完の家は変容をくり返す 中山間地域における空家予備軍の利活用

小濱 光時

1

熊本県立大学

居住環境学科

1021

木を編む

池田 聖美

2

九州職業能力開発大学校

専門課程 建築科

1026

簡易休息所~Xylophone

田口 勝慎

2

九州職業能力開発大学校

建築科

1027

積みチック

平良 咲

2

日本文理大学

工学部 建築学科

1031

変容木箱~CLT構法による都市の木質化への試み~

藤田 駿

1

静岡文化芸術大学

空間造形学科

ものづくり部門

1014

COTORI(コトリ)-学生の滞留空間の提案・製作

小峰 真裕美

2

大分県立工科短期大学校

住居環境科

1020

くむくむ

中村 優実

18

京都府立大学

環境デザイン学科

1023

小さな机

伊藤 渓又

5

名古屋芸術大学

デザイン学部デザイン学科スペースデザインコース

1024

一坪茶席

北川 友貴

2

滋賀職業能力開発短期大学校

住居環境科

1025

NPOとの共同研究による間伐材製品開発

千葉 眞紀

2

東北職業能力開発大学校

住居環境科

1028

木とくつろぐ場

阿南 朗

5

日本文理大学

工学部 建築学科

1029

集う温もりの木質空間

崎山 隼人

3

日本文理大学

工学部 建築学科

木質化空間部門

1006

音源寺-新しい形の木造寺院建築の提案

鳥居 きえ

2

東京都市大学大学院

建築学専攻

1013

山守がつくる風景としての生業

中田 喜之

3

関西大学大学院

環境都市工学専攻建築学分野

1022

摂南大・美山木匠塾「木育広場計画」~地域材による公園の木質化活動~

須山 慎也

25

摂南大学

建築学科

木を活かす活動部門

1007

竹林の荒廃と竹林の建材利用

四戸 さき

1

北海道科学大学

建築学科

1010

秋田県立大学木匠塾 木を活かした製作物、活動報告

田原 泰拓

1

秋田県立大学

建築環境システム学科

1016

木とコミュニケーションの関係を追及するものづくり

柴田 尚輝

3

東北職業能力開発大学校

住居環境科

1030

森から家具ができるまでの体験授業

張 航

6

日本文理大学

工学部 建築学科

1032

グッリ ド・ジャングルジム

石田 航平

7

島根職業能力開発短期大学校

住居環境科

 

H28年度 受賞者一覧

 

H28年度のコンペティション審査結果(画像をクリックすると拡大されます。)
表彰式は、313日に木材会館で行われ、以下の7点が表彰されました。

  

 ■林野庁長官賞 ものづくり部門賞 『くむくむ』 京都府立大学 中村優実ほか17名

講評:
簡単なパーツで様々に「くむ」ことができ、大きさの異なるいすやつくえ、そしてジャングルジムと用途が変更できることなど遊びごころも含まれており、ユニークであり、実際に制作されて使用している部分も高く評価した。特に、子供たちが楽しそうに遊んでいる写真がこの作品の良さを表しているように思い、ポスターの方にも多く取り入れられればより良かったのではないかと感じた。申請書に書かれたように、人々をつなげる手を「くむ」などより多くの活用が進むことを期待している。 

 ■木を活かす学生課題大賞 『コの重』 昭和女子大学 葛西 瑞季ほか5名

 講評:
極めて単純な形状である<コ型>の木製フレームを少しずつずらすことで、多様で魅力的な形状の工作物を提案・製作している。この手法によれば様々な形状への展開が可能であり、用途の多様性もさらに広がると期待できる。また、大小のユニットの組み合わせや配置により、ユニットの集合が多様な空間へ展開する可能性も秘めている。設置場所も屋内外に展開すると、都市・建築の中の憩いのツールとして、その用途はさらに広がるであろう。

  ■木造建築物・工作物部門賞 『未完の家は変容をくり返す』 熊本県立大学 小濱 光時

  講評:

今後、加速する空き家問題、それも過疎に悩む中山間地域に焦点を当て、空き家になる前の既存住宅の改修により解決しようとした計画である。中山間地域として熊本の五木村を選定し、アンケートを行い空き家になる可能性のある住宅が3割程度あることを前提として、現状の木造架構を活かして、次の新たな住人のニーズにも合う改修を、耐震要素としてのtree wallと生活装置としてのgrowing box2つを使い実現しようとしているところが、ユニークで興味深い。

 
 
 
 
 
 
 
 

  ■ものづくり部門賞 『小さな机』 名古屋芸術大学 伊藤 渓又ほか4  
講評:
材料を「段ボール」と「スギ材」に限定し、これをそれぞれが持つ個人的な「小さな机」というイメージの下に自由な発想で形づくられた、55様の作品である。本コンペへのこのような形態での応募は初めてのことであり、やや意表を突かれたが、それぞれが独創的であり、面白いと思う
   

 
  ■木質空間部門賞 『音源堂』 東京都市大学大学院 鳥居 きえほか1

 
  講評:

この建物は、寺院本堂の脇に建てられる多目的・多用途の構造物である。多層の外観を持ち、五重塔や中国の天壇、隠岐の闘牛場などを想起させる形態をもつ純木造の建物である。座禅などの宗教的な利用に加えて、音楽会等の地域住民による利用法を提示している。傘状の架構で、圧倒的な木質の内部空間が期待できる。ただし、本来、数枚に及ぶであろう図面から1枚に再構成したと思われるが、本堂との関係性など、十分に説明し切れていないのが残念である。この建物だけを紹介するのであれば、寺院とは別に位置づけることも可能であったと思われる。

  ■木を活かす活動部門賞 『森から家具ができるまでの体験授業』日本文理大学 張 航ほか5

 講評:
身の回りの自然環境と地域に着目し、自身を取り巻く環境を本質的かつ多角的にとらえつつ、自身の生活に活かされるものづくりを提案しようする取り組みである。山林研修、木材加工・流通現場、木材の性質、木材技法といった一連の流れを丁寧に理解しつつ、実際の製作においては、人間工学、木材加工技術を本格的に学び形に仕上げている。提案された作品も多様であり、木材利用が豊かな生活の礎として貢献する可能性を見せている。本活動を通して、材料供給までの連携はもとより、制作者と設計士の連携の重要性をも理解しつつある点に大きな期待を感じる。

  ■審査員特別賞 木造建築物・工作物部門『木を編む』九州職業能力開発大学校 池田 聖美ほか1
 講評:

タイトル通り、木を“編む”ことによりつくられた空間は、木のやわらかさ、なじみやすさを持ち、包み込むように人を迎えてくれています。その空間を、どこにでも容易に持ち運び、素早く設置できるよう、相欠き、ほぞ差しといった嵌合接合により実現している点も優れています。その安定性、安全性を適切に確保できれば、様々な利用の可能性がさらに広がると思います。木を編んだ空間が、人々が集う憩いの場として、様々な場面に広がっていくことを期待します。