中大規模木造建築物に係る構造設計者育成事業の概要

事業の目的

 1987年の建築基準法の改正により1990年代には、大規模木造建築の走りとなった多くの木造ドーム建築が造られた。しかし、その後ドーム需要が一段落すると大型木造はぴたりと鳴りを潜め、これらの需要を当て込んだ大断面集成材工場は、しばらく青息吐息の状況に追い込まれた。
 また、その技術は、大手ゼネコンを中心とした技術であったために、その技術がすそ野の広い一般建築業界に流布することもなく木造ブームとして終わった。
 公共建築物等木材利用促進法が2010年に施行され4年が経過し、新たな木造建築物が世の中に登場している。その多くは不利となるコスト面を補助金によりカバーされたもので、大手ゼネコンやメーカー系の技術によるものである。その一方で、紫波町のオガールプラザのように、技術支援を受けた設計事務所と地元建設会社によるものや、一般流通LVL材と既往の接合技術を組合せ大スパンでのローコストを実現した日新の木材倉庫棟、設計者と工務店のコラボで実現した北沢建築工場など、技術的な普及が進めば、一般の設計事務所や建設会社が、使えそうな事例や技術も少なくない。
 2000年の建築基準法の仕様規定化を経て、また、木造三階建学校の実大実験も終了し防耐火に関する新たな告示が整いつつあるなど木造建築物の設計環境が整いつつある中、1990年代のように木造ブームとして今日の動きを終わらせないためには、日本各地の一般建築業界においてRC造と同様に中大規模木造に取組める技術を浸透させていく戦略として、木造建築・木材業界・大学・公の産学官が一体となりこれに取組む担い手育成・支援プログラムが必要とされている。

構造設計に係る地域リーダー育成の必要性

 現状では、限られたメーカー、特に集成材や金物メーカー等から構造設計の技術支援を受けた中大規模木造か、全国的に見ても限られた数名の構造技術者が設計支援を行った中大規模木造しか建設されていない。この状況を打開していくために構造に関しては、各県を単位として地域の構造設計をけん引する指導者となるべき人材を2名程度育成する必要がある。