大工技能者の職業能力基準(案)に基づき、対象となる大工技能者の経験年数を基準として職業人として必要とされる素養(コンプライアンスやコミュニケーション能力等)、専門知識、技術・技能、取組み姿勢などを評価できる木造住宅業界全体で共有する職業能力評価シート(案)をH26年の予備調査を踏まえて、H27年の試行調査に向けて作成した。
この職業能力評価シートは、大工技能者自身による自己評価に加えて上司による評価を並行して行い、本人と上司の相互が技能レベル等の到達度を確認・共有できる内容となっている。加えて、大工技能者自身が自分の技能レベルの到達度を認識し目標ができることと共に、上司や会社は、仕事のミスマッチを防ぎ、技能修得・育成の方向を検討できるようになっている。
上のグラフは、委員会に参加する木造住宅業界5団体でH27年度に試行した大工技能者の職業能力評価シートの経験年数別クロス集計による平均評価点数である。経験年数ごとのクロス集計では、経験年数が高いほど全体的な平均点数が高くなる傾向がみられたが、経験年数5年未満と5~10 年未満ではあまり差が生じていない。経験年数10年以上では徐々に能力は広がるが、レベル2~レベル4への職業能力の広がりは、期待したほどに現れず、平均評価点数の増加は緩やかになる傾向がみられた。これは、経験年数が10年以上の大工にしても、レベル2の標準大工の仕事が多く、日常の仕事の中では、技能を習得して行くことが困難な状況にあると共に、そうした高い技能の仕事が現状として少ないことを示していると考えられる。
下記に職業能力評価シート(案)をEXCELファイルでダウンロード可能としているので、是非、活用してほしい。また、資料編に試行調査結果を載せているので、参考にされたい。
※大工技能者の職業能力評価シート